税務経営情報 Vol.218
~???なぜ???~
またまた、この8月に大峰山に登ってきました。去年に引き続き大峰山で修行するのは今回で7回目です(去年の税経情報には5回目と書いていましたが・・)。私の周りで結構大峰山に登ったことがある方がおられました。それは子供の頃だけであったり、今も続けて登られている方もおられます。もちろん修行の場は、大峰山だけじゃなくいろいろな山がありますね。初めて登った頃は、訳も分からず「なんでそんなことしないといけないだろう?」と思っていました。周りの人にも、「なんで登るの?」とか「なんか変な宗教しているの?」とか目を丸くして尋ねられます。確かにいまだに「なんで登っているのだろう?」と思います。私の義理のお兄さんは、私よりもずっと前から登られていますし、一緒に登る「講」の連中の中には、それこそ何十回と登られています。なんで??
登る前には精進料理を食べて精を落とさないといけないのですが、今年も不摂生で肉類や魚類などを食べてしまいました。今回は新客さん(はじめて修行に出る方を言います。)と一緒だったので久しぶりに新鮮な刺激を受け、初めて登った頃の自分を思い出しました。そして精進をしていない自分が恥ずかしくなりました。そこで自分が決めたことを一つ守りながら登ろうと自分に約束しました。それは、どんなにしんどくなってもペースを崩さないこと・あまり休憩をしないで登ることを、自分に課しました。要は苦しいことをしているのだから、苦しくて当たり前だと思うことが大事なんだと。
登る前には、恒例の「水行」があります。毎年のことなら、これが「きつい」。
ふんどし一丁で池に入るのですが、これもいつもなら最後の方に水に入って少しでも
水に入っている時間を短くする(情けないようですがなかなか・・)のですが、今回
は率先して入りました。水の冷たさが身に突き刺さりますが、お経を読みながら家族
のことを考えました。すると家族の幸せを考えると不思議と耐えられるようになりま
す。こういう時には、「なんで自分がこんなことをしないといけないのか」とか、自
分のことばかり考えていないとおそらく耐えられないのでしょう。
そして大峰山の入り口には「従是女人結界」と書かれたものものしい石碑があり、その前でもう一度自分に課した約束を思い出しながら、恭しくお辞儀をして入ります。登山道は多くの先達が踏みしめてできたものであり、感慨深いものがあります。その先達が、どんな格好をしてそしてどんな思いを持ってこの道を登って行ったのか。今私が、「なぜ登るのか?」という疑問を持っているのとあんまり変わらないのでしょうかね?私は「なぜ」という疑問について今もって明確な答えがあるわけではありませんが、なんとなく外部と遮断され携帯電話の電波の届かないところで、自分と周りのことを考える時間をいただいているのかもしれませんね。自分が歩んできた道と進むべき道、家族のこと、そして仕事のことを考え続けることが一番大事なのでしょうか。禅問答のようなことを考えながら登っていると、あっという間に頂上に着きました。
そしてお寺で「お勤め」をすまし、宿坊に入るや否や高尚な気持ちも吹っ飛び、いきなりちょっぴり高いビールで乾杯してしましました(^。^)y-.。o○
今までのあのいろいろ考えていたことがどうだったのかと思いましたが、誘惑には勝てませんでした。汗をたくさん流した後のあの1本目は、ほんとにおいしかったです。
しかし…修行中にもかかわらずそんなことをしたからか、翌日の下山時には大雨で
した。
(岡 本 清 臣)
~裁判員制度~
Ⅰ 刑事裁判に関する基礎知識編
③証拠の取調べ
●証拠の取調べとは
刑事裁判では、法廷で取り調べた証拠に基づいて,被告人が有罪かどうか、有罪の場合、どのような刑にするのかを判断します。
「証拠を取り調べる」とは、法廷で凶器などの証拠物を見ること、検察官が書類の内容を読むのを聞くこと、証人や被告人の話を聞くことをいいます。
ここでは、「証拠を取り調べる」ことの具体的なイメージを見てみましょう。
◆◆ 刺したのか?殺意は? ◆◆
ある殺人事件で、検察官が、「被告人は,殺すつもり(殺意)をもって、包丁で被害者の胸を1回刺した」と主張し、被告人は「被害者を脅すつもりで包丁を示したところ、奪い合いになり、もみ合って動き回っているうちに、はずみで包丁が刺さってしまった。殺すつもりはなかった。」と主張しました。
そして、検察官は、被告人が被害者の胸を1回刺したこと及び被告人に殺すつもり(殺意)があったことを証明するため、次のような証拠の取調べを請求しました。
② 凶器の包丁(先の方が曲がっており、先端が欠けている。)
② 被害者の死体を調べた医師の鑑定の結果(死体には刺し傷が1個あり、深さ15センチメートルであること、傷は背骨に達し、その部分に包丁の先端でできた傷と先端の破片があったこと。)
③ 事件現場の状況を記録した実況見分調書
(現場となった室内が特に散らかっていないこと。)
④ 証人(事件の目撃者)
◆◆ 刺さった強さは? ◆◆
まず、凶器の包丁の状態を見てみましょう。包丁を見ると「先の方が曲がり、先端が欠けていること」が分かります。
また、鑑定の結果からは「傷が背骨に達していること」、「包丁の先端の破片が背骨に残っていたこと」が分かります。
これらのことから、包丁は、被害者に刺さったときに先端が欠け、曲がっ
たものと考えられます。
包丁がこのように変形していることや、鑑定の結果から分かる傷の深さか
ら、包丁が刺さった力の強さについて、どのように考えるでしょうか。
◆◆ はずみで刺さったのか? ◆◆
実況見分調書から、現場となった部屋の中が特に散らかっていないことが分
かりました。包丁の奪い合いになって動き回っていたという被告人の言い分に
ついて、このような部屋の状況との関係で、どのように考えるでしょうか。
◆◆ 目撃者は何と? ◆◆
事件の目撃者である証人が、被告人がいきなり包丁で被害者を刺したと証言
すると、もしその証言が信用できれば、検察官の主張どおりということになり
ます。証人尋問では、証人がどこから見ていたかなど、証言の信用性に関する
質問もされるでしょう。
◆◆ 殺意の点は? ◆◆
他方、被告人に「殺すつもり(殺意)」があったかどうかという点はどうで
しょうか。
これは、被告人の内心のことですが、裁判では、外部に現れた事情を基に、常
識的な判断をします。仮に、検察官が主張するように、包丁で胸を1回強く刺
し、深い傷を負わせたことが認められた場合、皆さんの感覚では、殺すつもり
(殺意)があったと判断しますか。
《「裁判員制度ナビゲーション」より抜粋 》