税務経営情報 vol.315
○○ロス(loss)
親というものは、子どもが成長するのを見るのを楽しみにしているところがあります。思い返すと、初めて子どもを抱いた時、「可愛いなぁ!」と感じたと同時に親になるスタートをきったと実感したこと。初めて制服を着て幼稚園に行ったこと。初めてランドセルを背負って、手をつないで通った小学校。中学になると、・・・中学になるとあまり関わらなかったのかな、いや関われなかったのかもしれませんね。そして高校で和太鼓をもっと本格的にしたいと自分で決めて、急遽高校受験をして迎えた3年前の高校の入学式。娘はやりたいと思って入った和太鼓部に入部し、お父さんはたまたま入学の書類に入っていた高校の父母の会の「おやじの会」のチラシをみて、入部(違うな入会ですね)をして始まったおとうさんの高校生活。
昨年も同じ時期にお話しをしていたと思いますが、「おやじの会」とは高校の文化祭で焼き鳥の屋台を出店するのが一番の目的です。色々な学年のおやじさんが集まって、その文化祭の日に協力して焼き鳥を焼くのです。おやじとの共通項目は、同じような年齢の子どもがいるということだけですが、みんなで一緒に焼き鳥を焼き、そしてその後の打ち上げで盛り上がるというただそれだけですが、何故か楽しくて3年間やってきました。特に今年はおやじの会の会長とやらに任命され、今まで参加しているだけで良かったのですが、おやじ集めやイベントの段取りや打合せをしたりと、仕事の合間に色々こなしていました。
そういうことをしているとあっという間に9月の文化祭がやってきました。今年は、春に色々募集活動を行った甲斐があり、おやじの人数が多く飲み会を重ねるごとにみんな仲良くなってきて、文化祭の参加者が多くなりそうだったので、焼き鳥の本数を思い切って300本増やした2400本を焼こうということになりました。ちなみに3年前は1800本で、昨年は2100本と少しずつ増やしていたのですが、今回の2400本は過去最高です。営業時間は4時間半しかないので、1本焼くのに6秒75以上かかると売り切れなくなります。
これは会長として責任重大だと思い、おやじ同士の絆を深めるためにお揃いのT-シャツを作りました。当初会長の独りよがりと思われて、だれも買わなかったらどうしようとか、デザインがダサいと言われたらどうしようかと…作ったら作ったで、悩んでいました。しかし今年のおやじ達は、元から素晴らしい素質を持っていたようでそんな私の心配などどこ吹く風と一致団結をして、同じT-シャツを着て2400本焼ききることができました。私は今年で47歳になりましたがこの年齢になっても、このような達成感を味わえるのは幸せだなぁとその時は思っていました。同じ頃、娘たちは高校最後の和太鼓の演奏をしていました。焼き鳥を焼いている最中でしたが、こちらも大事なので見に行っていました。家では感情をあまり出さない娘が、和太鼓を叩いている時の嬉しそうな顔(いや、どや顔かもしれません)を見ていると、改めて娘が成長したなぁと実感をして、幸せだなぁと思っていました。
そして文化祭の夜、おやじ達と打上げで飲みに行っていると、突然このおやじの会はこれで終わりだなと改め気づきました。また娘の高校での演奏ももう見ることがないと思ったら、心の中にぽかっと穴が開いたようになりました。これが「ロス」なのだと。親としてまた一人の人間として、同時に二つのことをなくしてしまうと、なんとなく愛おしく切ない感じです。親とはこういう感情を繰り返すのかなぁと改めて思いました。当面はこのロスが続くのかなぁ…。
( 岡 本 清 臣 )
健康マネジメント論 その6<労働契約法と健康管理>
ウォータースライダーを初めて体験、「スピードを抑えるには座位姿勢」とあったので必死に座位を保持したら、翌日、寝違えのような痛みに襲われました。きつかったです。
労働者には、自分自身の健康を管理する義務がある
脂肪肝、タンパク質や筋肉のお話をしてきましたが「健康経営の話を最初にしておきながら、なぜ個人が頑張る話になっているのか?」とお思いかもしれません。実は、自分自身の健康管理は、法的にも定められています。
2008年3月に施行された「労働契約法」で、「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と安全配慮義務の要点が初めて明文化されました。それまでは労働安全衛生関連法規の中には、この配慮義務の概念は明文化されていませんでした。
この配慮義務には「安全」と「健康」が含まれているのですが、職場での不測の労働災害発生を防ぐためには、事業者だけでなく、労働者による災害防止のための参加と協力、自分自身の健康管理義務(自己保健義務)が「労働契約法」の第66条・69条で定められているのです。
具体的にいうと、健康診断結果を利用して労働者は自分の健康管理に役立てなければならない、つまり健康診断で指摘された異常値があれば、それに対して回復するような適切な行動をとる、あるいは必要であれば医療を受けて体調を整えることが必要、ということです。
例えば検診で「高血圧」「高血糖」などの指摘を受けたのであれば、その改善のために医療機関に出向いて医師の判断を受け、必要な服薬や、食事内容などの生活習慣の見直しなど、自身の健康保持・増進のために、自己努力を行う必要があるのです。
特に自覚症状が何もないという方ほど、健康診断の結果で異常値がでても「自覚症状がないから無視しても大丈夫」などと言って適切な行動をとられない方は少なくありません。過剰に怯える必要もありませんが、リスクの過小評価も危険です。今までの健康診断の結果を時系列に見比べ、少しずつ値が上がってきている、あるいは急な変化がないかなど、ぜひ確認してみてください。見過ごしていたご自身の体の悲鳴に気づくかもしれません。次回のテーマは、ストレスです。
1)大阪商工会議所編「メンタルヘルス・マネジメント検定公式テキスト」 2016 中央経済社 p45~47
( 谷 口 知 子 )