税務経営情報 Vol.220
~久しぶりの読書感想文~
秋は「読書の秋」と言われています。その関係かなにかで、税理士の会報誌に載せるために読書感想文を書いてほしいと依頼がきました。小学校のころ宿題で読書感想文がよく出されていましたが、私はいつも最後までできずに、苦しみの果て適当にして提出していました。そういうできなかったという記憶がよみがえり、依頼を少し躊躇してしまいました。結果的にちゃんと受けて、提出期限前に提出することができました(笑)。この私の性格を色濃く引き継いでいるのか、私の息子は、まだ人生の学びのスタートラインに立った小学校2年生ですでに読書感想文の苦手傾向がでており、いつも泣きながら時間ぎりぎりになるまで書いています。
そもそも「読書の秋」というのは、「燈(とう)火(か)親しむ(したしむ)べし」という言葉からきているそうです。「燈火親し」とは「李(り)杜(と)韓(かん)白(ぱく)」と呼ばれる唐の四大詩人のひとりである韓愈が、息子の符にあてて書いた「涼しく夜の長い秋は、都会で勉強している息子に対して『本を読みなさい』と忠告した言葉が日本で季語として使われているそうです。知っていました?
最近寝る前にベットに入りながら、本を読むようになりました。というのはもともと寝つきが悪いのに、歳のせいかより寝つきが悪くなってきたのでそういう習慣が身に着きました(ただし飲んでいた日は一瞬で寝れますが・・)。
そこで私が最近読んだ本で印象に残っているものを紹介したいと思います。
私はカトリックの幼稚園に通っていたので、イエス様は神の子で救世主という「神」の存在で崇めて拝むものと刷り込まれていました。しかし、実際には実在している資料がどこかに存在しているとあったり、キリスト教を布教するためにイエス様を教会が神格化してしまったとのことです。ましてやマグダラのマリアという女性と結婚(?)していて子供がいたと述べているのを読んで、いままでの理想に描いていた人物像が、ある意味とっても現実的な存在になりました。
今までの思い込み、常識だと思っていたことを別の角度で検証してみるのも面白いものだと実感した本でした。
この本は、夜寝る前にゆったりとして読む本ではなかったです。というのは、続きが気になって逆に寝不足に陥ってしまったからです。秋の夜は長いといっても、限度はありますよね!
(岡 本 清 臣)
~裁判員制度~
Ⅱ 裁判員制度に関する基礎知識編
●裁判制度とは
裁判員制度は,国民の中から選ばれた6人の裁判員が刑事裁判に参加し,
3人の裁判官とともに,被告人が有罪かどうか,有罪の場合,どのような刑
にするのかを決める制度です。
国民が刑事裁判に参加することにより,裁判の内容や手続に国民の良識が反
映されるとともに,司法に対する国民の理解が深まり,その信頼が高まるこ
とが期待されています。
●裁判員裁判を行う裁判所
裁判員裁判を行う裁判所は,
*地方裁判所のすべての本庁(50か所:各都道府県の県庁所在地のほか,
函館,旭川,釧路)及び一部の地方裁判所支部(10 か所: 立川※ 1,
小田原,沼津,浜松,松本,堺,姫路,岡崎,小倉,郡山)です。
※ 1 平成21 年4 月20 日に, 八王子市から移転
●裁判員裁判の対象事件
裁判員裁判の対象となるのは,国民の関心の高い一定の重大な犯罪に関す
る第一審(地方裁判所)の刑事訴訟事件です。例えば,殺さつ人じん罪ざい,
強盗が人を死なせたりけがをさせる強ごう盗とう致ち死し傷しょう罪ざい,
人の住居等に放火する現げん住じゅう建けん造ぞう物ぶつ等とう放ほう火か
罪ざい,身みの代しろ金きん目もく的てき誘ゆう拐かい罪ざい,無謀な運転
により事故を起こして人を死なせる危き険けん運うん転てん致ち死し罪ざい
などに関する裁判です。
平成20年に全国の地方裁判所で受理した事件のうち,裁判員裁判の対象と
なる事件は約2,300件でした。
●●コラム:裁判員制度の意義●●
刑事司法の目的は,適切な刑罰権の発動により,生命,身体,財産など,
国民の重要な利益や社会秩序を保護することです。その中でも,刑事裁判は,
被告人の権利を保障しつつ,厳格な手続の下で適正な審理を行い,適法な証
拠に基づいて被告人の有罪・無罪を判断し,刑を決めるという中核的な役割
を担っています。
❖ ❖ ❖
このような役割を果たすため,特に重大な事案や複雑な事案などでは,大
量の書類を証拠として採用し,多数の証人に対して細部にわたる尋問を行う
などの精密な審理を行った上,詳細な理由を付した判決をするということが
少なくありません。結果的に,法廷でのやりとりよりは書類や尋問の記録(
調書)を法廷外で精査することに重点が置かれます。
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このような精密な審理や判決の仕方が適正な裁判の実現に寄与してきたこ
とは事実ですが,反面,法律専門家でない国民にとって,法廷での審理や判
決の内容を理解することは極めて困難です。我が国の刑事裁判の適正さにつ
いては,これまでも多くの国民から信頼されていますが,それは,裁判官,
検察官,弁護人の専門性に対する信頼に基づくものではあっても,必ずしも
審理や判決内容を十分に理解した上でのものとはいえない面があります。
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専門性の典型である医療の世界でも,医療行為の説明と患者の自己決定(
インフォームド・コンセント)が潮流となる時代であり,国民生活の基盤で
ある社会の安全を支える刑事司法の運営についても,国民の関心が一層高ま
ることが予想されます。
そのような中で,将来にわたって,刑事裁判に対する国民の信頼を確保し,
その基盤を強固にするためには,国民に,被告人の有罪・無罪の判断や刑の
決定のプロセスに直接参加していただき,刑事裁判が果たす役割を実感して
いただくことが最も効果的です。そして,参加していただく以上,必然的に,
法律専門家でない国民にも分かりやすく,法廷での審理が中心となる裁判が
行われることになり,法廷で傍聴される方にとっても理解が容易になるはず
です。また,裁判官だけでなく,6人の国民のさまざまな視点が審理に反映
されることから,裁判の内容も,より多角的で深みのあるものになることが
期待されます。
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裁判員制度の意義について,その導入を提言した司法制度改革審議会の意
見書(平成13年6月)や裁判員法1条が,裁判員が裁判官とともに刑事訴訟
手続に関与することが司法に対する国民の理解を増進させ,その信頼の向上
につながるということを述べているのは,以上のような考えに基づくものと
思われます。
《「裁判員制度ナビゲーション」より抜粋 》